「ほら。さっきの笑顔で私を送ってよ」
彼は俯いたまま。あの笑顔は、彼の精一杯の演技だった。私が、あなたの笑顔が好きって言ったから。
「じゃぁ…ね」
彼がゆっくり顔を上げた。そこには、あの優しい笑顔が広がっていた。
「ありがとう…」
身体がとても熱く感じた。熱なんて、持たないはずなのに。
…もう会えない。
私の願いは、あなたが生きてくれること。それしかないの。だから、神様が最後にチャンスをくれた。私の願いを叶えられるように…。
大輝はきっと立直ってくれる。あの事故で、私を失ったことから…。 終