壱章その二 「システムリミット」
サウスタウンの裏路地で、喧嘩をしていた男二人を捕まえ、喧嘩の理由を聞いた 鼻をすぼめたくなる裏路地の臭いを気にしながら、白衣の男話を、一つもこぼさずに記録した
「心を変えるシステムを作っていたんだ…、彼はその実験台でね、感情をコントロールする装置を作ったんだが…。失敗だった、彼の感情をコントロールすることが出来ず、感情を消してしまったんだ。」
なるほど…
ダボダボの服を着た男が続ける「俺は悲しむという感情を失ったんだ!失えば補うのが人間、悲しむ代わりに怒りや笑いが出てくるんだ!」
白衣の男は申し訳なさそうにした 「………君が説明聞いてなかったとはいえ、すまなかった。」
「治せるんですか?」
白衣の男は首を傾げる
「わからん、ただ、心を再生させる装置なら聞いた事があるぞ」
「それは一体何処に?」
白衣の男が指を南の方へ向ける 「サウスタウン、もといバークレイズタウンの南にある」
バークレイズタウン?
この町の本当の名前か?
「バークレイズタウンにあるんだね?その装置が。」 白衣の男は首をふる「バークレイズタウンはここだ。サウスタウンもここなんだ。」 「バークレイズタウンはサウスタウンの元の名前か?」 「ああ。今はそうだ。」
白衣の男は急にポケットを探った「私はレミナー。心を研究する者達の一人だ。」 ダボダボの服の男も続けた「俺はディグリー、この町の大工をやってる。」
レミナーと、ディグリー…。 メモ帳に二人の名前を記入した。 メモ帳を閉じ、ペンをカバンの側面ポケットに入れた、が、何か入っていたらしく、近くのゴミ箱に捨てようとした。
「ん?」 チラシだった。 「それはなんだい?」 白衣の男レミナーが聞いてきた
「これかい?これはクライアンズゲートに取材で行った時に貰ったんだ。」 「レントレー、それは持っといても良いんじゃないか?」
ディグリーがゴミ箱から拾い出して僕に渡してくれた
「ゴミ箱をいじるのは紳士としてはやってはいけない行為だぞ?」 ディグリーは拗ねる 「もう俺は紳士も糞もない。」
レミナーとディグリーと別れ、町の南へと向かった。