そ‥そんな筈‥‥ないよね?!
あたしってば、ヤバイかも‥‥‥。
遂にミズホさんの幻まで見えてきちゃった。
『や‥山下先輩っっ!!お、お久しぶりですっっ!!』
背後から腕を鷲掴みにされたまま、
青山さんが、しどろもどろにミズホさんに挨拶をした。
『“お久しぶり”じゃねぇよっっ!!
青山てめぇ、あたしのダチに何しやがるんだよっっ?!』
ギリギリギリギリ――
背後から掴まれた青山さんの腕には、
更に力が加えられた。
『い、痛っ‥‥痛たっっ‥‥‥。
す‥‥済みませんっっ!!
山下先輩ごめんなさいっっ!!
まさか、木下さんが、山下先輩のお知り合いだとは知らなかったものでっっ!!』
青山さんの、
さっきまでの威勢の良さは、
まるで嘘の様で――
目に涙を浮かべて、怯えている姿からは、
誰が“番長”だと想像出来ただろうか――
『今度、あたしのダチに少しでも手ェ出して見ろ?!
こんな甘いモンじゃ済まないよ?!
分かったな?!青山?!』
ドカッッ――
ミズホさんに掴まれた腕は、
勢い良く振り下ろされ、
背中を足で蹴り上げられた青山さんは、
そのまま、ふらふらと床に崩れ落ちた。
成沢さんは、
その、あまりにも情けない番長の姿を、
ただ、だまって見ているコトしか出来ないでいた。
そして、
あたしとユカも。
『“成沢”っていったね?!
噂には聞いてるよ。
あんたが転校生だってコトも、
“クサ”の栽培の話を、この情けない番長に持ち掛けたってコトもね。』
『‥‥‥‥‥。』
『バックに誰がいるのか知らねぇケド、
あたしのダチを巻き込むのだけは、やめてくれ。
あたしが番長だったトキなら、こんなコト許さねぇ所だケド、
あたしはもう卒業しちまった身分だから、細かいコトは言うつもりはねぇ。
あんた達が“カンベツ”や“ネンショ”に入ろうが、あたしには関係ないコトだからね?!』