壱章その三「謎の少年フォード。」
レミナーとディグリーと別れた後、僕はバークレイズタウン、いや、サウスタウンの南に向かった
錆の臭いが鼻につき、閉まりきった店のシャッターが風に打ち付けられ、ガタガタと震えている 木枯らしの突風がオーバーコートを容赦無く殴り吹き、手袋を口に当てて顔の冷えを抑えた
しばらく歩くと、人の集まりを見かけた。 事件か?
カメラとメモ帳を持って人の集まりへと向かった 「どうしました?」
ベレー帽をかぶった男がパイプをふかし、困り果てた顔をしていた 僕は様子を察した
盗まれたのだ、店の物を 「またフォードだな……。」 「あぁ、あの子しかいない、盗んだのは食品ばっかだ。」
僕はフォードについて聞いた「フォードというのは、一体誰なんです?」
ベレー帽をかぶった男が答えた 「孤児院にいる子さ、最近財政難だから盗むを働かしてる奴だよ。」
僕はカメラをしまった 「しかしいくら財政難とはいえ、盗むというのは流石にいけないんでしょうか?」 ベレー帽の男はパイプをふかすのを止め、腰を降ろした 「さあな…今のバークレイズタウンはわからない事が起きすぎだ、サウスタウンって名前になってからここは荒れ始めたよ…。」
僕は覚悟を決めていた
「そのフォードという少年を捕まえたら、何か理はあるんでしょうか?」 ベレー帽の男は立ち上がって僕を見た 「本当か?本当に捕まえてくれるのか?」 目が輝いていた。
「はい、ですがその代わりに心の研究所の場所を教えて貰いますからね。」 ベレー帽の男は頭を下げた 「ありがとう!せいぜい気をつけるんだよ、彼は強いからね。フォードの事だ、またあの噴水にいるだろう。」
ベレー帽の男に言われ、町のはずれの噴水広場に向かった。
走って町のはずれに向かう
綺麗な水が踊る噴水広場にたどり着いた
噴水の近くに、大きなバッグを抱きかかえた少年が座っている。
彼がフォードなのか?
服は黒い長ズボンに破れかけた蒼いブレザー、赤い帽子をかぶった男の子だった。
「………誰?」