それから、家族四人でつかの間、静かなときを過ごした。
肝心の純は病院にいたときのように変わりはない。
それを思うと家族皆が何故という思いである。
純はこれから、荷物をまとめて、紹介状に書かれた。病院、それも精神病院に行かなくてはいけない。
「純、何も余計なことは考えるな」父が口を開いた。
「うん。よく分からないけどね、、、」不安はやはり隠しきれない。
母は先程から、涙を拭ってばかりで言葉ばでない。でるのは鳴咽である。
「お母さん、大丈夫だよ純は、お母さんのたった一人の息子でしょ」京子が母に手を添えた。
母は涙ながらに頷くのが精一杯だった。