贈りもの-4-*出会い*

So-n  2008-12-12投稿
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藤子は電車を乗り継ぎ、会社へ向かう。

貿易会社の受付を担当する藤子は、白いコートを脱ぎ、シンプルな制服に着替えた。

貿易関連だけあって、藤子は英語も多少かじっている。
藤子の隣で一緒に受付をしているのは後輩だ。まだまだ教育は必要だが、覚えもよく、要領もいい。

「おはよう」と挨拶を交わし、仕事にとりかかる。


自動ドアが開き男性が1人入って来た。
「恐れ入ります。私、○○警備保証の田崎と申します。新しくこの地区の担当をさせて頂きます。」
田崎と言う男は藤子に名刺を差し出した。

―田崎 幹弘―\r

「あ!」突然の男の大声に藤子とその後輩は驚く。

「あ、いや、失礼しました」
田崎幹弘は気がついた。
(この人は毎朝ホームで見るあの女性じゃないか!)
幹弘はすかさず藤子の名札を見た。

―橘―\r

(橘さんか)
(名前も知りたい。でも聞いたら失礼かな)

そうこう考えるうちに、「2階へどうぞ」という藤子の声がした。

初めて聴く声に、幹弘は感激した。この偶然に感謝した。偶然ではなく運命にしたかった。

幹弘は仕事を済ませ、再び受付へ。

「失礼ですが…」

藤子は笑顔で対応する。

「毎朝、○○から通勤していらっしゃいませんか?」
笑顔が一瞬驚きに変わった。
「実は、僕はその反対のホームにいるんですよ」

「まぁ…そうでしたか!」藤子は一層驚き、「世の中狭いですね」と笑った。

「僕は田崎幹弘と申します。弊社共々よろしくお願いいたします」

「橘藤子と申します。こちらこそ、よろしくお願いいたします」

2人は互いに頭を下げた。
「では。失礼します」
幹弘はニヤけた顔を隠しながらそそくさと外へ出た。

(藤子さん…)

幹弘にとってこの出来事はまさに運命としか言えなかった。



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