ロストクロニクル4―4

五十嵐時  2008-12-12投稿
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シャープとパッドは森の中にただ佇んでいた。
「シャープ、正体は分からないが何かが俺たちを取り囲んでいる」
シャープが黙って頷いた。
「とりあえず、このままだと危険だ。こっちから行くぞ!」
そう言うとパッドは大きな剣を振りかざし、森の中へ入って行った。
「ちょっと待って下さい」
パッドと入れ違いに森の中から姿を現したのは、全身火傷を負った蛇だった。
「この蛇は・・・」
蛇はシャープに狙いを定めると一直線に向かって来た。シャープは恐怖で足が動かない。
大きな口がどんどん近づいてくる。
「バカ野郎!早く逃げろ!」
パッドの言葉で正気に戻った。だが、もう遅かった。
シャープの体は一瞬で蛇の巨体に巻き込まれた。
「大丈夫か!」
蛇はシャープをきつく締め付けていく。
「た、助けて下さい・・・苦しい」
「待ってろ!」
パッドは蛇の体を力いっぱい切りつけた、つもりだった。だが、蛇には少しの傷しかつけることができなかった。
「なんて固いやつだ」
蛇はパッドに気付いたらしく、尾でパッドを強く払い退けた。パッドは木に強く体を打ち付けた。
蛇はさらにシャープを強く締め付けた。
骨が折れそうだ。
わたしも自分でなんとかしなくちゃ。
シャープは自分の体を急激に冷たくし始めた。
少しずつ締め付けが緩んでいく。その隙をついて僅かな隙間から抜け出し、パッドの元へ駆け寄った。
「やるじゃないか!」
シャープを見るとなぜか笑い始めた。
「無事で何よりです」
心配した自分が馬鹿だったように感じた。
「おい!気を抜くなよ」
蛇は既にこちらに狙いを定めていた。
「おい、凍らせれないのか?あの蛇」
「無理です。大きすぎて、全身は凍らせれません」
「なら、一部ならできるんだな」
「何か考えがあるんですか?」
「いいや、全くない」
それと同時に蛇が口を開けて、こちらに向かってきた。
「止まれ!」
シャープが蛇の足元を凍らせた。
一時的に蛇の動きが止まり、高い位置にあった顔が勢いよく地面に叩きつけられた。
すかさず、蛇の元へ走り、目を剣で突き刺した。
蛇は大きな鳴き声を上げ、氷を破って再びシャープをめがけて向かってきた。
「シャープ、気を付けろ!」

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