奈央と出会えたから。<295>

麻呂  2008-12-13投稿
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信じられなかった――



目の前にいるヒトが、



本当にミズホさんだなんて――



少なくとも、



あたしの知ってるミズホさんは、



こんな乱暴な言葉を使ったりは、しないから――



『ちょっと待ってくださいよ山下先輩。
いつ、龍二に“クサ”の話をしたんですか。

あたし、龍二にだけは、絶対知られない様にしてたのに‥‥‥。』



『いつ???

今だよ。たった今。
あんたが奈央と秋田谷をここに連れて来るトキ、あたしはこっそり後ろからつけてたんだよ。

フフフ。

もちろん、ICレコーダーに、コトの一部始終を録音させてもらったわよ。』



ミズホさんの言葉に、



青山さんは、かなりのショックを受けた様だったケド、



それも束の間。



やがて、



ひとつの疑問を投げ掛けた。



『ケド、山下先輩。
そのICレコーダーが、たった今録音されたばかりなら、

どうやって龍二に渡したんですか?!』


少し得意気な顔で、


青山さんがムキになって言った。



『バカよねぇ‥‥あんた。

その前に、何で卒業した筈のあたしが、ここにいるのかという疑問が先に立つ筈でしょう?!』



な‥なるほどっっ。


そう言えば‥‥そうよね‥‥‥。



どうして、ミズホさんがここにいるんだろう???



ケド、



ここにいるのは、ミズホさんの幻ではないコトは確か。



『青山ァ‥‥。

聖人の存在を忘れてもらっちゃ困るわよ?!

奈央ちゃんの王子様♪

ねっ奈央ちゃん?!』



そう言って、



ミズホさんは、ニッコリあたしに微笑みかけてくれたケド、


微笑み返したあたしの頬の筋肉は、



絶対引きつってたと思う。



『じゃあ、聖人先輩も、山下先輩と一緒に、あたしと成沢をつけて、ここまで来たってコトですか?!』



青山さんは、少し取り乱していた。



その、



あまりにも巧妙なミズホさんと聖人のやり方に、



やはり、



動揺は、隠せなかったらしい。



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