何も考えずに誰かに甘えたかった…
その相手に優先輩を選んだのだとしたら…私はきっと最低だ。
だけど、あの時の私はどんな優しい言葉よりぬくもりが欲しかったんだ。
｢先輩…｣
だから私から身を任せた。先輩はきつく抱きしめてくれた。
なぜだか涙がこぼれた。
もう自分で自分の感情がコントロール出来ない。
｢玲…｣
先輩はそういってキスをした。後は流れるまま私は戻らない道を選んだ。
朝の太陽の光が優しく照らす。こんなにおだやかな気持ちで朝を迎えたられたのは久しぶりだ。
私の横には先輩がいて…私の髪を優しくなでてくれている。指先からも愛しさが伝わる程、大切に。
｢起きたか？｣
｢うん｣
｢…やばぃ｣
｢えっ？｣
｢すんげぇ…幸せかも｣
月並みな言葉かもしれないけど、私は優しい気持ちになれた。人に想われるってこういうことなんだ。
私はいつのまにか忘れかけていた気がした。
｢しばらく…ここにいてもいいかな？｣
気が付いたらそんな事を口に出していた。
先輩は一瞬驚いた表情を見せたが、目を細めうなづき優しく抱きしめた。
私は一度マンションに戻り、荷物をまとめた。
部屋に猛はいなかった。
猛には置手紙を残した。
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