DEAR…猛
ゴメンね、私はやっぱり弱い人間です。
私のことを一番に考えてくれる人がいい。
本当にごめんね、そして今でも大好きよ。
私が置いてきた手紙を猛はよんでくれるのかな…
好きだけじゃ一緒にいれないことがある…その意味を噛み締めていた。
だけど私には先輩がいる。
先輩と一緒にいる様になって私に笑顔が戻った。
それに一番敏感に気付いてくれたのは沙笑だった。
「玲は水臭いなぁ…」
「ゴメン」
「でも玲が優先輩を選んでくれて良かった」
「沙笑…」
私は沙笑に猛のことも、彼女のことも、全て話した。沙笑の目には涙が溢れた。
先輩のとこにきて二週間。また平穏な日常に戻ろうとしていた。
久しぶりにピアノ室でピアノを弾いているといきなり扉があいた。
「誰?」
知らない男だった。何も言わずただ笑って部屋の鍵をかけた。
「お前人のもんとったんだろ?」
「何言ってんの?」
訳がわからなかった。
「しかも淫乱で誰とでもやるって?」
「はぁ?」
すると男はナイフを出して笑いだした。
その笑い声が恐怖でたまらなかった。動けない。
「おとなしくしてろ」
「いやっ」
私は男に抵抗して楽譜やカバンなど身の回りの物を投げつけた。