また金曜日がきた。
いつものように彼の部屋へ向かう。
今日は会議があると言うのでいつもより3時間遅い出発だった。
23時過ぎに到着した。
1週間がとてつもなく長かった。
あたしからのキスとあたしからのハグ。
逢いたかった。
愛しくてたまらなくて早くひとつになりたかった。
腹ごしらえを済ませ、少し用事を手伝う。
意思の疎通がうまくいかず、少し叱られて凹みつつ「なら自分でやったらええやろっ」とキレたり…
今日はもぅ遅くなってしまった。この用事が終わったら彼はきっと帰るんだろう。
そんな事を考えながらも用事を終えてしまった。なるべくゆっくりしたんだけどな…
「電話してくる」
「彼女?」
「うん」
彼は普通に別室へと行ってしまった。
惨めだった。
雲泥の差だなぁと、また打ちのめされた気がした。
明後日、彼女は帰ってくる。
貴方がどれだけその日を待っていたか知ってる。
いつでも体があけば彼女に逢いたい気持ちもわかる。
どれだけ逢っても、別れたそばからすぐに逢いたくなる。
わかるよ。
だってそれはあたしがずっと前から想ってる事だから。
逢いたくて逢いたくて、逢ってる間はずっと一緒にいたくて、離れると寂しくて、またすぐに逢いたくなって……
一緒なんだよ?
わかってよ
けど言いたくなくて。
だってそれでもいいと決めたから
早く帰って
一人で泣かせて
なのに
靴を履いた彼が玄関であたしを呼ぶ
ドア越しに手を振った
また呼ばれる
ドアをあける
泣きそうになる
「おやすみのチュウは?」
キスなんかされたら欲しくなるからやめてと言った
抵抗のあと、キスをされる
「わかった
じゃぁこうしよう」
「どう?」
「明日朝早く、出かける前にここに来るから、セックスしよ?」
「来ないでしょ」
「来るって」
「起きられへんやん」
「絶対来る」
きっと寝坊するんだろうなぁと思う
「絶対?」
「絶対」
抱きしめてキスをしてくれる
「絶対絶対?」
「絶対」
しがみついたまま聞く。
来ないとわかっていても、きっとギリギリまで待ってしまうんだろうな…
帰って行く笑顔を見ながらそう思った。
翌朝2時間の運転があるのに、やっぱり眠れなかった。
彼はまだ来ない。