FUJI:side
朝教室に入ると、机の上に落書きがあった。
[先輩が可哀想]
[バカじゃないの?]
[キモイ]
イジメが始まった。
ハチはこの事を知らないだろう。
あの紙を貼った犯人が国分先輩だなんて、
思いもせずに、
国分先輩と手を繋いでいるだろう。
そんな事を思っていると教室の窓から国分先輩とハチが見えた。
やっぱりな…って。
胸がギュッと掴まれた感じがした。
聞こえるはずがないって分かってるのに
「ハチ…」
三階の窓から小声で呼んでみた。
一瞬目が合った気がした。
俺の勝手な想像なのかもしれない…
でも、
それだけで今日を生き抜ける気がしたんだ。
─────―……・・・
国分先輩がどうして俺を嫌うのかが気になった。
聞きたいけど、怖くて聞けそうもなかった。
ハチは国分先輩が犯人だと知ったらどうするんだろう?俺のところに来てくれるのだろうか…
そんなこと考えたりしたけど、きっと無理だろう。
ハチは国分先輩が好きだから、真実を知っても国分先輩から離れられないだろう。
今だって。もしかしたら知ってて一緒にいるのかもしれない…