夢っていうのは、たまに大げさにされている気がする。
さっきの夢は間違いなくあの中学最後の大会の夢だ。
ただひとつ言わしてもらうと、俺はあんなにキレイに投げられて敗けたわけじゃない。
本当は効果一つの差で敗けたのだ。
一本敗けはしていない。
ただそれでも敗けは敗けなのだ。
柔道のルールにもちゃんとある。
ポイント差での敗けは優勢敗け、相手にしてみれば優勢勝ちで勝敗が決まるのだ。
そう考えながら、洗面所で顔を洗った。
一年二人がきてもう1週間か。
なかなかすぐたつものだ。
新藤はもともとうまい。
まあ、中学からやってる上、全国経験者なんだから当たり前か。
河野もなかなかのものだ。
中学時代、授業で柔道があったそうだが、それにしても飲み込みがよすぎる気がする。
「修二〜、早く起きろよ〜。」
悠の声。
なんで、いつも家に上がり込んでんだよ…。
いつものことか。
そう思いながら俺は部屋を出て階段を降りていった。