なぜ僕がこんなにも過敏に浮かないようにしてるのは理由がある。
この水槽には｢ルール｣があるからだ。
｢おいっ菊池！｣
僕の背後からのそっと現れたゴツイ手で肩をつかまれた。
副委員長の手だ。
｢僕になにか用？｣
僕は冷えた目で見かえす。
｢おまえは教室のみんなと一つになれてない。みんなはおまえの思い出ができないんじゃないか心配してるんだよ｣
と親が心配するような顔をして言う。
僕はこいつが嫌いだ
｢心配してくれてありがたいんだけど、それは僕の問題だから｣
それを待ってましたと言わんばかりにヤツは切り替えしてきた。
｢わかった。今から制裁な！｣
｢えっ！？｣
恐れていたことが起こってしまったのだ。
副委員長は教壇にかけあがり、黒板に書き込んだ。そして手でまわりの注目を集め言い放った。
｢制裁者は菊池になります。｣
まわりはいっせいに僕を見て、机を大きく離した。
｢口をきかない。触れない。見ない。三原則です！皆さんこれはイジメではありません。青春の大事さや仲間のありがたさをわかってもらうタメの制裁なのです。また協力者は共犯としますので｣
と締めくくった。
これが水槽の｢ルール｣だ。
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