容赦無く降り続ける雨に髪を濡らし肩を濡らし二人歩いた
ぎこちなく空いた僕らの距離
君の頬に流れる雫が雨なのか涙なのか分からない
『じゃあまたね』と言った最後の挨拶
それから会う事もなく月日は流れた
君は今どうしているだろうか
君の笑顔も声も忘れて行く
恋人にもなれず
友達にもなれず
離れて行く存在を今更愛おしく思う
決断を下したのは僕なのに大切な物を失ったようで心に大きな穴が開く
君は文句の一つも泣き言も言わず僕から離れた
縮まる距離にブレーキをかけた
その理由さえ聞かずにただ遠い目をしていた
迷いはあった
君といつまでも一緒にいたいと思いながらも崩されたくない日常があった
なのに君の存在が毎日の生活から消えて君の事ばかり思い出すようになった
後悔しても遅いのに
もう許してもらえるはずもないのに
君に大きな傷を与えてしまったのに
出来るならあの雨の日に戻りたい
別れを切り出す前に戻りたい
『寒くない?』と僕が聞いた
『寒いね』と君が肩をすくめて言った
そんな当たり前のやり取りが何だか懐かしい
君は確かに隣にいた
僕の問い掛けにすぐに答えてくれた
今は隣に君がいない
何を問い掛けても君は答えてくれない
あの時冷たくなった君の頬に触れていたら
濡れた頬をこの手で拭いてあげられていたら
離れないように強く抱きしめてあげられていたら
そしたら君を笑顔にしてあげられていたのに