2008年12月8日。
あれから2日もたったのに、まだわたしはあの時に浸っていた。
「…ち……ちょ…ちょっと!きいてんの?!」
!!
「ああ!ごめん!」
「あんたまた杉山のこと考えてたの?」
「だって生だったからあ〜♪」
「どうせあんな若手すぐ廃れていくわよ。」
「そんなことないもん!!」
放課後は毎日の様に、決まったファストフードに寄る。
そのときの会話は、いつも決まっていた。
「そうそう!最近彼氏とはどうなの?!」
「あ〜。もう別れたわよ。」
「なんで?!かっこよかったのに勿体ない…」
「あいつとんでもなくバカなのよ。頭のない奴は好きじゃないわ。」
この子の言葉は、私の教訓でもある。
かっこいい一言、私には言えない。
美人で頭が良くて人気がある。
それが、私の親友だ。
「それより、あんたはどうなのよ?」
「え?」
もちろん、彼氏なんていない。
「気になる人とかいないわけ?」
ふと浮かんだのは
「杉山くん…」
「あはは!!ばっかじゃないの?!」
いきなり笑い出してびっくりした。
「な、なに!いいじゃん!好きなんだもん!」
「あんたそれは「好き」じゃないでしょ?」
「え?!ち、違うの?」
「それは単なる「憧れ」よ。」
「芸能人っていう異世界への憧れ。好きなんかじゃないわ。興味本位でしょう。」
そうかもしれない。
彼女が言うとそうかもしれないと思う。
私は…
彼が好きなんだろうか…?
あのとき。握手したとき。
私は。
確かに、杉山智弘を見た。
確かに、彼の目をみた。
そして、確信した。
「私は杉山智弘が好きなんだ」と。