あたしのマンションの前は小さな空き地があって、そこでは草や木が生い茂っていた。 夜の9時か10時頃に網戸にしてあった窓からその声は聞こえた。「ミャー」。あたしはベランダにでて声のする方を見て探した。でも声の主は見当たらない。諦めて部屋に戻ろうとした瞬間、声の主がピョンピョン跳ねるように草花を押し分けて出てきた。 「かぁわいい」思わず口から出てしまった。黒と白のブチと白と茶色のブチと茶色の子猫。おかぁさんはいないみたい。こんなに小さくてごはんはどうしてるんだろ?まだミルクだよね?ミャアミャア泣いて、ゴミ置場の周りをうろうろしてるからきっとお腹が空いているんだと思い、牛乳を温めて少し砂糖をいれて皿にうつして子猫の所へ持って行った。 マンションを出て子猫達と目が合った瞬間、子猫達は一目散に逃げて見えなくなってしまった。あとを追って「お〜い、チチチッ」って言ってみたけど子猫は現われなかった。その時仕事帰りのサラリーマンが通って、パジャマ姿で牛乳の入った皿を持っている私を不思議そうに見てたので私は急に恥ずかしくなりそのまま自分の部屋に逃げて帰った。その日の夜中