「さあって…。お前知らないの?」
俺は少しいらついて言った。
「どう思うかはあなた次第という事です。これらの「道」に繋がっている
部屋はあなたを映すだけです」
男は優しい声で言った。
「…そうなの?」
「はい」
と、なると俺は続きが見たくなった。とぼけているけどあの紳士ぶった男は未来が見えるってことを遠回しに言っているにちがいない。
「…わかった。ありがとう。じゃあね」
俺は他の「道」を行こうとした。しかし男は俺の腕をギュッと握って止めた。思いのほか力強い。
「いてっ。何だよ」
「残念ながら部屋で見れるあなたを見るには有料でございます」
「はあ?」
男が何を言っいるのかわからなかった。
「先程の初回は無料でございます。しかしながら二回目以降はあなたの夢の記憶と引き替えになっております」
男はよりいっそう丁寧な言葉遣いで言った。
俺の夢の記憶?
なんだそれ?
いやまてよ。そもそもこれは夢なんだ。何したって平気だろう。俺は少し悩んだがすぐ了承した。
「では目をつぶって下さい。すぐすみます」
俺は目をつぶった。
「…もういいですよ」
男は満足した様に笑った。何だべつになんともないじゃないか。何かが変化した様子はなかった。
「毎度ありがとうございます」
男は深々と頭を下げた。変な奴とおもいながら俺は赤い「道」を行った。振り返ると男はニコニコしながら俺に手を振っていた。
部屋のドアを開けると今度の「俺」はさっきとは全く逆の姿だった。ホームレスのようで公園で寝ている。
あれ?
お金持ちは?
パーティーは?
何が起きたんだよ。続けて見てみるとどうやら「俺」の企業が失敗したらしい。それで一気にホームレスに転落。そして俺はまたもとの場所に戻っていた。