「では、エリザベス人形の詳しい事は、訊かれなかったんですね?」
「私が聞いたのは、ずっと前から館にあった。
…と言う事だけかな」
ルークが話しに加わった。
「じゃあ全く、謎だらけの人形なんですね?」
「いくら調べてみても、どこにも出生記録が見つからないから、謎だらけの人形だ」とジョージ。
すると…
「あの人形は…」
――――――――
別室で監視モニターを見ているヒース助教授と警備員ランス。
モグレ警部の姿もあった。
モニターには、第2資料保管室内の様子が映し出されている。
……
何の異変も見当たらない。
……
シーンと静まり返っている。
……
ヒース助教授はミネラルウォーターを飲みながら言った。
「何も変わった事はないじゃないか?」
「確かに、異変を感じたんですけどねェ」
首をひねるランス。
一呼吸置いて立ち上がった時だ。
ずっと画面を注視していたモグレ警部が声を上げた。
「ヒース助教授、あの部屋を完全にシャットアウトして下さい!」
「え?」
「出入り口を完全にシャットアウトするんだ!」
「どうしたんですか?」
「画面を見たまえ。
ローズマリーが動き出した!」
慌てて画面を見入るヒース助教授とランス。
カッと目を見開くヒース助教授。
「ウソだろう!?」
「なるほどね、怪しげな声の主はコイツだったんだ! ドアの施錠をして来ます!」
ランスは表情が熱くしながら、部屋を出て行った。