Bside同時刻
議員達のパーティー会場付近
この国は区間というもので区切られている。区間は人々をまとめるために置かれ、住民登録をしたり、治安維持をしやすくしたりする。
また、区間ごとに区間長という人が置かれ、その人が区間を仕切る。また、その補佐と会議に参加する人を区間議員と呼んだ。
この第十一区間の夜は大きく動くこともなく、静かに黙り込んでいる。
元々酒場やカジノ等の夜の遊び場自体がこね区間には少なく市場等が多いため、夜になると皆家で寝ていた。
議員達が集まっている邸宅は区間のちょうど中央にあり、周りの区間民はかすかながら彼らの行動に感づいている。しかし、当の議員達は本日もパーティーを楽しんでいた。まあ、ダラードによる襲撃というハプニングはあるのだが。
そんな邸宅の周り、街灯が僅かに当たっている位置に二人の男が立っている。
「ゲルドさん、どう思います?」
先に生態を震わしたのは若い男で、比較的美男子に部類されるようなおとこである。
その美男子_リクト・ベンドルの声を聞き、ゲルドと呼ばれた男はコートの内側から煙草を取り出しながら疑問を返す。
「何をだ?」
ゲルドは鋭い目をしており、確実にリクトより年上だがさほど歳が離れている印象を与えない不思議な男である。
「議員ですよ。区間民の金使ってあんなことしてる議員です」
彼らは区間直属の警備員である。二人の仕事の内に議員の護衛があるため、ここにいるのだ。
「そうだな、よい気分じゃない」
「ですよね」
短い会話により一時的に沈黙が二人を包んだが、またリクトが疑問を口にする。同時にゲルドが煙草に火を付けた。
「俺達なにやってんすかね?」
「警備だな」
「快く思ってないのに警備だなんて・・・」
リクトは続きを述べず俯いてしまう。
ゲルドは煙りを吹き出し、いつもなら返事をしないところで、敢えて自分の考えを述べてみることにした。
「そういう問題じゃない」
「えっ?」
「議員が腐ってようが何だろうが、俺達にはやることがある」
もう一度煙草をくわえながら邸宅の入口に向かった。
「区間を守るのが俺らの仕事だ」