全身の血の気がひいていくのを感じてめまいがした。あのことは、猛にも知られたくなかった。
「玲ッ」
沙笑の声の後、貧血で倒れた私を誰かが抱きとめた。
記憶はないが覚えのある優しい匂いだった。
次に目が覚めた時は沙笑の部屋だった。
「玲、起きても大丈夫?」
「うん…ごめんね」
目の前にいる猛も心配そうに私を見ていた。
猛…少しやせた?疲れてやつれているようだった。
「本当にごめん…」
そう言って猛はいきなり土下座した。
「玲の部屋にいったら、封筒が投函されていて…封があいてるから…中身見たら…本当ごめん」
猛は下を向いたままだったけど声は震えていた。
私は何も言葉にできなかった。私より怒ったのは沙笑だった。
「犯人…わかってるんでしょう?あんたのせいよ」
「沙笑…」
「玲…だって…」
沙笑の気持ちはすごく嬉しかった。だけど…猛を見てられなかった。
すると猛が意外なことを話始めた。
「俺のせいなんだ…俺があいつと別れたから…だからあいつは…」
「ふざけないでよ」
沙笑は猛に激しく罵ったが私は猛が別れたことの方が驚いた。
「別れたの?」
「あぁ…」
「なん…で?」
「もう全て話すよ」
そう言って猛は話しだした。