如月加夜と他ふたり番外編

神山  2006-06-24投稿
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「仲良くなる方法を見つけた」そんな事を聞いたのは後になってからで、本当は後悔する筈なのだろうけど、私はそうしなかった。事件の始まりは、彼女を便所に突き飛ばした所からだろう。体育館 横の寂れた場所だ、教師はここを覗かない。私達は彼女を蹴った。便器の水を舐めさせる。そして、彼女の姿を笑った。そんな事を毎日くり返す。私は彼女を虐めている。ただ何となくムカついたからだ。物事を始めるのにこれほど正当な理由があるだろうか。大人しく、チクらず、彼女は面白い。だから私達は、特に私は、止まらなかった。そんな日常、湿った便所の床で噎せ返る彼女を笑う日々に私は満足を知った。彼女の両目は、時間が経つにつれ細くなり何処とも言えない物を映している。それが分かり、私は余計に面白い。彼女の瞳が何も映さなくなるまで、私は虐めを止めなかった。気に入ったぬいぐるみを使い古すみたいな気分だった。そして彼女は首を吊った。当然と言える。振り回されたぬいぐるみは綻びるに決まっているのだから。予想できた事だし、それを私は望んでいた筈だった。なのに、私は泣いてしまった。人を殺す事をその時に知ったのである。いや違う。教えられたのだ、彼女に。墓前で私は謝り続けた。そこに意味が有るとでも言うように。それからは無為な日々が続く。ただ食事をし、活動のち、排便そして眠るだけ。彼女の事ばかり私は考えていた。何時の間に友達も居なくなったが、私は何も感じない。寂しく等なかった。忘れない様にと彼女を思い続けていたからだ。彼女は私の中で生々しい。私に風が吹けば、彼女の黒く長い髪が揺れる。部屋に居れば、彼女の柔らかい指が寄り添う。死んだ様な瞳が、今では輝きを放っている。死んだ?いいえ、彼女は死んで等いない。私が落ち込むと微笑みかけ、私が喜ぶと微笑む彼女は綺麗だった。ある日、恵子がこんな事を言ったものだ。「死んだあの子さ、あんたと友達になりたかったらしいよ」私は思わず笑ってしまった。もう仲良くなっている。「仲良くなる方法を見つけた」そんな事を聞いたのは後になってからで、本当は後悔する筈なのだろうけど、私はそうしなかった。私はそうしなかった。 彼女は私の親友だ。

『あとがき』感想まってますし、もし良かったら同タイトルの日記もご覧下さい。せっかくの小説サイトです、楽しくおもしく行きましょう。ウマいヘタ関係なっしんぐ!うぇるかむ、同士!!

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