壱章その六「ベルギー・ライン」
異国の服を着た男が、僕の目の前で不適な笑みを浮かべていた。
「フォードという少年を助けなくていいのかい?」 フォードのいる方に指を指す。
「そういえば!」
完全に壊れたナイフを眺めた後、 フォードのもとへと駆け寄った。
「君!大丈夫かい!立てるか!?」 手でフォードの体を揺すると、瞼がうっすらと開く
「ぅうん………」
「誰…?」
フォードは枯れた声で僕に質問した
「それは後、とりあえず今は病院へ行こう。怪我の治療をしなくちゃね。」 フォードは立ち上がって、腕を回した
「怪我なんかしてな……ぃ…痛あああああ!」
フォードはその場で悶絶してしまった…。
「まあ、自分の限界より力を出してしまったんだ、筋肉が切れてるに決まってるさ。」
「ベルギーさん、この辺りで病院を見かけませんでした?」 ベルギーは商店街が見える所に指を指した
「ここを通り抜ければすぐだ、いや、私もついて行こう。」
痛みで気絶してるフォードを抱え、ベルギーについて行く事にした。
肩を押さえ苦しんでいながら気絶しているフォードを見ると、誰がフォードをこんな風に暴走させたのかを知りたいと思う。
商店街に入り、フォードを抱え走りながらベルギーと話をした。
「ベルギーさんは何処出身で?」 ベルギーはこっちを見て笑った
「ベルギー……と言ったら…?」
「真実なら記し、証言の記事に載せます。」 ベルギーは更に笑う
「ハハハハハ!一枚上手を取られたな!いや、本当は教えないといけないのだろう?」
僕は頷く「はい。」
「そうだな、ただ普通に知られるのも嫌だが……、知って貰えないのも怠惰………。」
「じゃあどうするんですか!?」
「日本の場所知っているか?」 「はい。アジアの……西側ですよね。」
「まあな…、そこから地球を二週半した後に着く場所だ。」 意味が解らない………、ベルギーは謎を絡めて何を伝えたかったのか。
「ハハハ!まあ、柔らかく考えなさい…。」
フォードを何とか病院に送り届けた後、僕はベルギーさんと院内の待ち合わせカウンターで話をしていた。
「ん?どうやらもう時間が来たようだな……。」
続く