「……仕方が無いな、今は引こう」
沈黙を貫く2人にリスターはまた折れ立ち上がった。そして牢屋から離れようとした時だった
「あぁ言い忘れていたけど、一番左奥の石は脆いから気をつけて」
そう注意をしてリスターは牢屋を後にした。重たい石の扉が閉まる音が無情にもダル達の耳に響く
しかし、ダル達は希望に満ち溢れた顔をしていた
一体どうしたのだろうか?
2人はすぐにリスターが言っていた左奥の石に向かった。エドが石の小さな隙間に指を入れるとガコッと石が容易に外れたのだ。どうやらこの牢屋からの脱出口みたいだ。何故あるのかは2人はあえて触れなかった
「リスター警部ありがとう」
「必ずM.Tと大統領は助けます」
2人はそう呟き脱獄した
(再就職先考えとこ)
リスターはその頃自分がやった事を少し後悔していた
一方ダル達は無事に地上に出てこれた
「僕の車は?」
駐車場に着くなり自分の車を探すエドにダルが……
「エド!」
ポイッと鍵を投げるとエドは片手で受け取る
「どうしたんだよ?これ?」
「リスター警部がさっき牢屋を去る前に置いて行ったんだ」
「……こりゃ絶対に犯人捕まえないといかんね」
クスッと笑うエドに「だな」とダルは頷いた
エドがキーレスで車を探すが
「「ゲッ」」
2人は車を見た瞬間に引いてしまった
「何故一般車両にしてくれなかったん…だ?」
ダルが声を引きつって言うと
「けっけど、これはこれで便利だと……思うよ」
エドも引きつった声で答えた
2人が引くのも無理ない。何故ならリスターが用意した車はパトカーだったのだ!
乗るのをためらう2人だが、時間が無いのですぐに乗り込む。車に乗ると座席に没収された携帯と財布が置いてあった
エドがハンドルを握った瞬間エドの顔つきが変わった。怖くてなる………というか、小さい子が期待するみたいにワクワクと好奇心旺盛そうな純粋な子供の顔だった。ダルはいっそのこと怖い表情になってくれた方が良かった。逆に怖い…
「まっまだ15分あるんだからゆっく……」
ダルが必死に命乞いしようとするが時既に遅し……
「ぎゃぁぁぁぁ」
ダルの断末魔がまた街に響く