蝉の鳴き声

まる  2008-12-16投稿
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「ありがとう…」


寂しそうな背中で私にこう告げる父


『余命3ヶ月です』

突然の宣告
そして過酷な病との闘い

父は強かった。いや、私が強い人だと思っていたのかもしれない。


夏の終わりの蝉のか弱き声よ

初夏のあのたくましさはどこへ行ったのか?


暑かった私の頬を冷やすように


涙がこぼれ落ちた



あるなんでもない残暑の日


父は帰らぬ人になった


さっきまで生きていた父の唇に

笑みがこぼれおちていた

それを一つ残らずかき集め

胸に刻み


愛しき人よ


幸せをありがとう…
「ありがとう…」



蝉の鳴き声

かき分ける夏の暑さ


そのたびに思い出す

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