私は広告営業マン。職種を選ばす、あらゆる企業へ、飛び込み訪問をするのが仕事。
12月12日(金)曇り
今日は「立花内科医院」を訪問した。建物はそれほど古くはないが、明るく独創的な建物を建てて開業する医療機関が多い中で、初診の患者が選んで入る様な感じはしない。
入口を入ると、患者の靴は一足も無い。「ラッキー!直ぐに院長に面会出来るぞ。」私はそう思い、受付へ向かった。
受付カウンターの中には、まだ高校を卒業したばかりと思われる可愛らしい女の子が、此方を見て立っていた。白衣に紺色のカーディガン、と言う医院では良く目にする服装でだが、私は彼女の袖口に目が釘付けになった。彼女の手は、すっぽりと袖口に隠れている。寒い訳でも、袖口が長すぎる訳でもない。
私は名前と用件を簡単に伝え、名刺を差し出した。彼女は袖口から指先だけをちょこんと出して、名刺を受け取った。一応両手で受け取ってくれた事だけは救われた。
「院長にご面会をお願い出来ますか?」「院長は今いらっしゃいません!」(えっ、何で身内に敬語を使うんだ!)「何時頃お帰りになりますか?」「何時頃お帰りになるか、分かりません」(えっ!)
私は呆れてしまった。なんと教育の行き届いた医院だろうか。嫌々、医院ばかりは責められない。学校や家庭の責任は大きいような気がする。私も営業の世界に入り、人と会話、商談をするのが仕事だが、これといった教育を受けた訳ではない。相手に対し、失礼になったり、不快を与える事がない様にと、気は使っているが。
何れにしろ、再訪して院長の顔を見るのが楽しみになった。