夕日は今にも沈もうとしていた。世界が真っ赤に染まる。
僕は一人、誰もいないレストランで珈琲を飲んでいた。窓からは海が見える。昔、彼女と別れた海だ。なんで別れたんだっけ?
海の横にはちょっとした崖があった。その上には刑務所が建っていた。断崖の上の刑務所。僕は一時期そこにいた。
さて、と僕は思う。そろそろ行こう。
車を走らせて公園ヘ行った。あたりはもう真っ暗だった。
ある日の早朝、僕はここで、ある男と日本を出ることを決意した。その時、僕らはジャズをやっていた。だが翌日、男は消えた。それ以来、僕はピアノを弾くのをやめた。
僕は家に帰った。新しいワインを開け、そのまま飲んだ。
全部、過ぎ去ってしまった過去なんだ、と思う。
TVをつけると、古い西部劇がやっていた。