たくやはあの時のことを思い出すことができた。
(『石沢っ!!』
『なに、大島くん』
『これ、やるよ』
『ストラップ?』
『ああ、お互い頑張ろうぜ』
『あっありがとっ!!』
『ちなみにお揃いだからな』
たくやはもう一つの同じストラップを見せた。 さおりは素直に喜んでいた。)
『よかった〜』
まだ完全ではないがたくやの記憶は戻りつつあった。神様がくれたキセキなのかもしれない。
次の日。今日は日曜日。 さおりが朝一番にやってきた。
『おはよう、たくや』
『おはよう』
『リンゴ剥こっか?』
『ああ、悪いな』
『ううん』
さおりがリンゴを剥いている。
『なあ、さおり?』
『うん?』
『このストラップ返す』 『えっ!?』
『もう一つあるから』
『もしかして・・・思い出したの?』
たくやは笑って答えた。
『ああ、少しな』
『・・・嬉しいっ』
さおりは感動して、涙を流した。
『さおり・・・』
『ホントによかった・・・』『あとは、早く歩けるように頑張らなきゃな』
『うん。たくやならできるよ』
『ありがとう』
たくやはリハビリに専念した。時は経ち、半年が経った。たくやは、普通に歩けるようになり退院 の日がやってきた。
『おめでとう』
看護婦と医師の人に見送られ無事退院できた。
高校は出席日数が足りず留年になったが頑張って 乗りきった。さおりが一年早く卒業したが、その後もさおりとなるべく会った。
そして、僕も高校を卒業し専門学校に入った。さおりは大学に進学していた。
なかなか会うことができなくなったが、電話はよくしていた。
『元気〜?』
『ああ、さおりは?』
『あたしも元気だよ』
『今度さっ、デートしない?』
『えっ!?ホント!?』
『うん。会いたいんだ』 『あたしも』
『じゃあ、日曜の2時に 〇〇公園の噴水があるところで待ってる』
『分かった、絶対行く』
デート当日。
たくやはさおりを待っていた。30分経っても、さおりは来ない。
さおりから電話がかかってきた。
『たくやっ・・・助けて』 『え!?どうしたんだ』 『助けてっ・・』
『いまどこだ』
『〇〇港の第8倉庫・・』 『分かった。待ってろ。すぐ行く』
そういって、電話を切り 全力でそこへ向かった。