「エリカ、もうすぐ誕生日だろ?
たまには奢ってやるか」
「え、いいの?」
「諒司!俺ももうすぐ誕生日だからさァ、おごれ!」
「康介よ、…お前年に何回誕生日あんだよコラッ!」
「あ、やっぱバレた?」
「あはは、嘘つきぃ〜っ。あ、リョージ、ついでにさぁ、友達も呼んでいい?…」
遠慮がちに上目づかいで見上げるエリカに、ちょっとドキッとした俺は、思わず安請け合いをしていた。
「何?…ま、まァ一人ふたりなら別に…」
「やったーっ♪」
「やりィ!」
「康介おめーわ!違うだろが」
やがて、ケータイで呼んだエリカの友人達が合流する。
「あれ? 君たちはこの間お店に来た…」
「諒司クンのゆく所、いつも花盛りですね」
「昭彦… お前、どこから出てきたんだよ?」
「あのーっ、……諒司さんって、本当にお上手なんですかぁ?」
「いやん、麻紀ったら、ロコツ〜」
「あはははははは」
「いやァ、その…企業秘密って事で」
エリカの友人達が面白半分でからかってくるのに閉口した俺は、とりあえず適当な店を選んで入る事に決めた。
エリカの右にいる一見おっとり風のタレ目の子は、先程ストレートにズバッと質問してきた九里(くのり)麻紀。
その斜め前を歩くシャギーの似合ってる小柄な子が小坂雛(ひな)。
…で、堂々と腕を組んでくる品川恵利花の後から、峠昭彦と石島康介がニヤニヤしながらついて来た。
後日、ネタにされるのが目に見える…
と思っていたが、奴らの狙いが実は他にあった事を、後ほど知った。