諒吾宅
「理解した？」
諒吾は部屋の椅子に座り、女はその前で正座する形をとっており、女は実に申し訳なさそうな顔をしている。
それもそのはず、彼女は勝手なに落ちてきた分際で諒吾の首にダメージを与え､罵声を吐き続け､なおかつそのおかげで話しが全くといっていいほど進まなかったのだ。
「・・・はい」
諒吾が伝えたのはこの世界についてである。
始めにここがどういったところなのか。ここは数多くある世界の狭間に存在する世界であり、多種多様な生命体がここへ落ちてくる。生命体だけでなく物体も落ちてくるが、断然生命体のほうが多い。
続いて送還について。送還は要するに元の世界に戻すことである。そうするためにはきちんと国の認証が必要であり、こちらに残ることもできる。
その他諸々のことを説明したが、混乱している彼女の頭の中に幾らほど入っているのか疑問でもあった。
「さてと、それでどうする？」
「？」
椅子に大きくもたれながらたずねるが、彼女はあきらかに疑問の色を浮かべている。
（だから、面倒なんだよなぁ）
「今日中に住民登録か送還の手続きしちまうか？それともここに一時的にいるか？」
丁寧に言われたことにより話しの内容が読めたのか、一瞬明るい顔になったが、すぐに曇ってしまう。
どうやら展開があまりにも早すぎるようだ。
「う〜ん」
彼女は正座したまま腕組みをして本格的に考え始める。
（長そうだな）
表情からそのことを読み取り、同時に肝心なことに気が付いた。
「俺は梶間諒吾。嬢ちゃんは？」
自己紹介をしていない。彼女も言葉をかけられ気付いたようで、ここに来て一番の笑顔で言葉を紡いだ。
「美香。島原美香」
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