さっきまでは、あれほど強気だった青山さんが、
今は何かに怯えているかの様にさえ思えた。
成沢さんは、そんな青山さんの姿を見て、どう思ったのかな。
きっと、
見たくなかったろうなって思う。
だって、
自分が尊敬し、
信頼していた番長の、
情けない姿なんてさ‥‥‥。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪〜♪
そのトキ、
ミズホさんの携帯が鳴り響いた。
『はい。もしもし。あっ、聖人?!
うん。オッケ。今行くよっっ!!』
どうやら、
電話の相手は聖人らしい。
ふぇ〜〜ん。
聖人ぉ。
給食時間になってから、急に姿が見えなくなるんだもん。
きっと、
学校抜け出して、煙草でも買いに行ったんだと思ってたんだケド。
だいたい、聖人が給食の時間にいなくなるコトなんて、
絶対考えられないのにっっ。
あ゛‥‥それとも今日は、聖人の嫌いな“納豆モナカ”の日だったかなぁ‥‥???
あたしは大好きだケド♪
『‥‥奈‥‥央!!』
自分の世界に入ってしまったあたしに、
隣にいたユカが、
ひじで腕の辺りをつついた。
はっ‥‥!!!
今は、こんなバカなコトを考えてる場合じゃなかったんだ。
うぅ‥‥あたしのバカッッ!!
『青山。今、聖人から連絡があって、正門の前に着いたってサ。
もちろん京谷も一緒にねっっ。
外へ出るよ。
付いて来なっっ。』
ミズホさんがそう言うと、
さっきから泣きそうな顔をしていた青山さんが、
今度は青ざめた表情で、
正門前へ向かうべく、
だまって、ミズホさんの後に付いた。