フラットが蛇を撃退してからもう一度夜がやって来た。タクトたちは結局、もう一晩泊めてもらうことにしたのだ。
そしてその夜、タクトは自分の父親と母親が殺された日の夢を見た。
あの時は・・・隣にフィールがいて・・・みんなでいつも通り・・・夕飯を食べていたんだ。そして・・・
「・・・クト、タ・・・ト?」
遠くで誰かの声がする。
「ねぇ!タクト」
タクトは隣で寝ていたパールに叩き起こされた。
「・・・ん?な、何?」
眠い目を擦りながらパールの方を見た。
「どうしたの?大丈夫?」
パールが心配そうな顔を覗かせていた。 「えっ?どうして?」
そして、タクトは今やっと気付いた。身体中汗びっしょりだったのだ。
「何か叫んでた見たいだったし・・・どうしたの?」
「なんて叫んでた?」
恐る恐る訊いてみた。
「よく聞き取れなかったわ」
「そうか」
思わず安堵の笑みが零れた。
「ねぇ、本当に大丈夫?」
「ああ、いや、ぼくは寝言がひどいから」
家族にもよく言われてたんだ、と付け加えるとパールの返答も待たずにそのまま寝てしまった。
翌朝
新しくフラットを加えたタクトたち四人は村の出口の前でミュークに見送られていた。
「すまんな。俺一人で、なんせ村の復旧作業でみんな自分のことで手一杯でね」
「あの、本当にいいんでしょうか」
フラットが後ろの方から消えてしまいそうな声でミュークに訊いた。
「ああ、気にするな」
「でも・・・」
「フラット、いいか?君の罪滅ぼしはこの三人のやくにたつことだ。もし、この三人のやくにたてなかった時は、許さないからね」
ミュークは優しくも厳しい口調でフラットを諭した。
「それじゃあ。そろそろ行こうぜ!」
「もう行くのか」
「はい。二日間も泊めていただいてありがとうございました」
「行ってきまーす!」
四人は元気よく歩き出した。
歩き出したのはいいが、行き先を決めていなかった。
「本当に大丈夫ですか?」
フラットが呆れた表情を浮かべていた。
「焦ることはない。初めから行き先はないんだ」
タクトは地図を睨んでいたが、この地図には地名や細かい部分は書かれていなかった。
「この地図には南側に大きな建物が書いてあるんだ」
そこはフラット曰く、図書館のようだ。