「パパの字…!?」
驚愕したような映子、ちょうどそのとき、双子の喪服の女の子が、カラフルな布の貼ってある箱を持ってきていた。
「どうゆうことです?なぜあの人の手紙があなたの手元にあるんですか?」
「さっきご説明したとおりです。わたしはあなたの旦那様から殺しの依頼を受けました。」
ほーっと妻の体から力が抜けた。そうして、最後の気力を振り絞り、力いっぱい返した。
「だれを殺すのですか」
「あなたを苦しめる、ご依頼人の家族と、そして」
とん、と胸をたたいた。
「あなたの『悲しみ』です」
「え…。」
「旦那様は自分が死ぬのが分かっておられました。…たまにいるんです。死期がわかる人間って。だから、死にゆく前に、最後に、あなたを苦しめるものをなくしてしまいたいと思い、依頼されました」
『ぼくの妻は元は男でね、…今流行のオネエっていうんだろうか?とにかくそんなんでさ。十年前に知り合って大恋愛。まわりの反対を押し切って結ばれた。まではいいよ?…でもぼくの実家っていうのは旧家のものすごいでかい家でさ。この結婚に無論大反対。…妻の働く店を妨害したり、妻をレイプさせたり、毒盛ったりって』