―毎日、ある夢を見る。
それは男の子と一緒に遊ぶ夢。
その子が誰なのかは分からない。
でもその子と遊んでいるととても楽しかった。
目が覚めるとまた退屈な毎日が始まる。
もう、起きずにずっとあの男の子と遊んでいたかった。
また、あの夢を見て男の子にこう言われた。
「ねぇ、いっしょに行かない?」
僕は迷わず答えた。
「いいよ。」
どこに行くのかとかそういうことはもうどうでもよかった。
ただ、男の子と一緒に退屈な毎日から抜け出せる喜びでいっぱいだった。
「よし、じゃあ行こうか。」
僕は男の子に手を引かれ、走っていった。
…とある病院の治療室。
一組の夫婦が泣きくずれる。
夫婦の息子の心臓が止まったのだ。
少年は3か月前に交通事故にあったきり一度も目を覚まさなかった。
これからも少年は目を覚ますことはない。
少年は男の子といっしょに逝ったのだから。