大生と聞いた恵子は、少しびっくりした。
「私、そんな飲めませんよ」
それを聞いた良介が言った。「いいから、いいから」
テーブルには冷えた大生ジョッキ七つが運ばれた。
「よし、じゃあ直也、お疲れ、乾杯!」
「乾杯!」
恵子は何かを決めたかのように口にジョッキを運んで目を瞑りながら最初の一口を飲んだ。
その姿を見た古賀は恵子の女らしさを感じた。
恵子は少しばかり頬を赤らめ隣に座る古賀に尋ねた。
「古賀さんは、いま何処に住んでるの?」
「俺は千川」
そう聞いた恵子は少し驚いた。
「千川なんだ。近いな、私は千早町に住んでるんだよ」
「そんなに近くに住んでたとは、何かの縁かな」
二人は、この時すでに意気投合していた。