雨が降っている。
白い息を吐き出しながら
僕は地面に倒れこんだ
体がつかった水溜まりは血と泥が混ざった匂いがする
今日、僕は人を殺した。
このままここにいれば捕まるだろうな
全力で走って逃げ出してきた僕の体は 水溜まりと反応し 湯気が立ち上った。
僕はその居心地の良さにほぐされて眠りについた。
小さい手をめいっぱいに広げて母親に甘える懐かしい夢が流れた。
何時間たったのだろう。
目を開けると雨が上がっていた。
どうやら誰も通らなかったみたいだ
通報はされた様子はなかった。
安心からか一息ついた。
「大丈夫ですか?」
突然、背中の向こうから声が聞こえた
早くなる鼓動を抑えながら、振り向くと
そこには幼さが残る少女がたっていた。
一瞬、口を封じるという考えが頭を過ぎった
だが、もう仕方ないことだった もう諦めよう。
「僕は人を殺した。関わらないほうがいい」
それを聞いた彼女はゾッとした顔をした。
「本当?」
「ああ本当だ。はやく通報しろ」
彼女はケータイを取り出したが、何も押さずにしまいこんだ。
これが彼女との最初の出会いだ。