大好きだった彼女が
今朝死んだ。
僕は病院に一晩中いた。
ただ大声で泣く御両親に一礼して彼女に会わずに病院を出た 
僕は泣けなかった。
涙の一粒も流れない 
人間の誤差なのか。
僕はただ自宅とは逆の報告に歩き続けた。
疲れきるまで歩き続けた。 
そして川に出た。  
遊歩道には
大きなケヤキの木があった
僕はそっと幹に腕をまわして鼓動を聞く  
なにも聞こえない。
ようやく一粒の涙が頬をつたい地面に落ちた
地面とケヤキはなにも語らない。
僕は誤差を修正した。
さあ彼女に会いにいこう 
その後   彼の消息をだれも知らない