その半年後に風花と桐山の二人は入籍した。
式は身内だけのひっそりとした式だったが、風花の左手の薬指にはその時のやましい金で買った指輪が光っていた。
しかしそんな幸せを感じていた風花とは裏腹に桐山は複雑であった。
結婚してからも俳優業は鳴かず飛ばず、相反して風花はますます人気も仕事も鰻登りに増えていった。
そんな生活に桐山は苛立ちも積もり、また酒やギャンブルなどに逃げる生活をするようになり家には居つかないようになっていたのだ。
新居に飾ってある二人の幸せそうな写真が一層現在の暮らしの淋しさを強調させていた。
朝になり風花が目を覚ますとそこはリビングで、テーブルの上のキャンドルはとうに燃え尽き、ワインのボトルが転がっていた。
どうやら昨夜はベッドへ行かずにそのまま眠ってしまったらしい。
「最悪…」
どうやら昨夜はたくさん泣いたであろう真っ赤な眼をしながら、軽い頭痛がする頭をクシャッと抱えると、風花はシャワーを浴びに浴室に向かった。