Aside同日早朝
チリリリリ
第十五区間。そこは実に商業が盛んな区間である。
チリリリリ
それに比例するように治安が良くなり、区間は大いに賑わっていた。
チリリリリ
そんな区間。とある事務所で電話のベルは鳴り響く。
事務所はどこか殺風景で、必要最低限の物以外は置かれていない。
チリリリリ
五度目のベルが鳴り終わると同時に奥にあるドアが勢いよく開かれ、そこからいかにも起きたばかりの男が現れ、一気に受話器へと手を伸ばした。
「こちら解体屋」
『あっ、どうも。解体屋エルドさんですか?』
受話器の奥からは若い男の声が響いてくる。
「あ?ああ」
『え〜と、それじゃあ用件だけ手短に話します。ダラードさんが捕まりました。』
「へぇ、捕まっちゃったの」
彼_解体屋エルドにとって殺し屋ダラードは仲間のようなものである。しかし、その仲間が捕まったという報告を受けてもどこかのんびりした声で電話に応答している。
『はい、今第十一区間の裁判留置所に監禁されてます』
「わかった。ありがと」
それを最後にエルドは電話を切った。
「オッケー。久々に面白い仕事になりそうだ」
着替える事なく部屋の出入口へ向かい、そのまま部屋の外に出る。
「さてと、その前に」
部屋の外に広がる光景。
それは数え切れないほどの顔の群れだった。
群れはそれぞれ何等なの武器を持っており、中央にいる警官が叫びを上げた。
「解体屋エルド。今すぐに投降しろ。さもなくば強硬手段をとる」
対す反応はというと
「逃げるか」
エルドはその群れに向かい一つの小さな球を投げ込んだ。
次の瞬間、その球から煙りがたちこめ、その場は一瞬にして混乱が満ち溢れた。
そいて、警官の視界が開けた時にはすでにエルドの姿は消えていた。