初めての実戦、訓練とは違う何かがアルの心臓を激しく振るわせる。
それと同じように訓練機のエンジンは勢いよく稼動を始めた。
〔俺が先に出る。ジェフとニキは後に続いてくれ〕
アルはそう伝えると一気にエンジンの回転数を上げた。
みるみるうちに地上から離れた機体は無人機が群れる方向へと飛び立った。
その先で見たものは絶望的光景、敵が8味方が2、パッと見た感じだが敵味方の比率がそれだった。
だが…
「引き下がるわけにはいかない…やらなければ地球は終わる…」
アルは自分にそう言い聞かせた。アメリカに住む両親と弟、それにニキとジェフ、守りたいものはそれだけで十分だった。
アルは無人機の群れに突っ込むと機関砲を唸らせた。
数秒で3機の無人機を落とすと後方からの攻撃で更に2機の無人機が爆ぜた。どうやらニキとジェフが追いついたようだ。
それから3人で十数機程度を落としたが、どちらが優勢かは明らかだった。
〔ダメだアル!一旦退いたほうがいい!このままじゃこっちもやられるぞ!〕
ジェフの鬼気迫る声が響く、だがアルはそれを無視した。
退いても意味がないことぐらい分かっていたからだ。