次の日のお葬式…わかった事があった…健輔は結婚していた…喪主を務めていた女の人が奥さんだ。
佳奈も私も知らなかった…そしてその彼女の腕の中には生後1ヶ月くらいだろうか…小さな男の赤ちゃんがいた…健輔の子供だった。
あまりにも予想していなかった展開に悲しみを忘れてしまった…健輔にまんまと騙されたと思った。
それと同時にわたしは安心した。健輔が寂しく悲しく死んでいたわけじゃないことがわかったから。
大切な人に見守ってもらって、自分の子供の顔を見られて…残された奥さんと子供は今からが大変だと思うし…健輔も二人を残して死んでしまうのはさぞ悔しい思いだっただろうが…私は安心した。
だから…私が彼女いるんでしょ?と言った時重い空気が漂ったんだ…自分の力では奥さんと子供を幸せに出来ないと健輔はわかっていたんだろう…。
でも、じゃあなんで健輔は死んだ夜、私の夢に出てきたんだろう…なんだか腹が立つ。
ちゃんと大切にしてる人が居るのに…あんなふうに夢に出てくるなんて。ひどい…死を武器に、私が忘れない様に健輔の事を好きなままで居る様に仕掛けられたんだ…きっと。死んでからもズルイ奴だ。