キミが島にやって来た日の事を、今でもよく覚えている。沖縄の長い夏の始まりを告げる梅雨明け。沖縄の離島の小さな島には、余りにも似つかわしくない、まるで映画のヒロインがスクリーンから飛び出して来たかの様な美少女。スラッとした長身に、サラサラの長い黒髪。お父さんらしき男性と、仲良さそうに運動場を歩くキミを、僕は移動中の廊下から見とれてしまっていた。それが、キミとの出会いだった。
しばらくすると、クラス中、いや、学校中は彼女の話題でもちきり。小さな島の中学だから、転校生はもはや芸能人扱いだ。勿論、うちのクラスでも彼女の話題で盛り上がっていた。まっ、クラスと言っても、たった６人しかいないが…。他のクラスもそんな感じ。各学年１クラスしかない。まさに、絵に書いた様な田舎の中学校。
オレは、クラスの中でちょっと浮いた存在。悪い意味ではなく。自分で言うのもなんだが、落ち着いていて、大人じみた性格だった。だから、皆の会話には興味の無いふりをして、ただ淡々と、次の授業までの時間を過ごしていた。
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