しばらくして彼女は、何も語らない僕に飽きたのか、視線もくれずテレビを見ながらいくつか一方通行の話をし始めた。
「なんで殺したの?」
「だれにでも悲しむ人はいるよ!」
「他に方法はなかったの?」
まるで壊れたラジオだ。
その彼女がとばす電波は、僕の神経を逆なでした。
カップをテーブルに叩き置くと彼女は肩を少しビクッとさせた。
その勢いで半乾きのジャケットを持って玄関に向かってドカドカ歩きスニーカーを乱暴に履いた
彼女はさすがに悪いと思ったのか、僕を呼び止めた。
だが僕は制止を聞かずにドアのカギを開けて外へ出た。
彼女は、
「私はナツ!安藤奈津って言います。」
と精一杯の声で
自己紹介をした
僕は周りを気にしながら 小走りで去った。
本当にヘンな女だ。
普通は殺されるとか考えるだろ。
なんであんな質問
理由なんて言えない。
もう会うことはないだろ。
僕は駅前の漫画喫茶に逃げ込んだ。