僕は彼女に惹かれていた
綾瀬瑞穂。
彼女の涙を見た日から僕は彼女が気になっていた
彼女はパッと華やかな美人で、愛嬌もあるから人気がある。
でも竹下からのメールに怯えていた彼女はか弱くて、守ってあげたい…そんな風に思わせた。
幸い、気味の悪いメールを送り続けていたあの女も、ちょっと脅したら反省したらしい。
こんな事ならさっさと言っていればよかった。
「こういう行為を続けたら、僕らは貴方を訴える事になる。どうか考え直してくれませんか」
極めて紳士的だ。今までされた事に比べれば。
ふと見るとあの女が瑞穂に話し掛けていた。
が、どうやら揉め事ではないらしく、立ち上がりかけていた瑞穂が笑顔で席についた。
発注や確認等1番忙しい時間帯で、社員みんなが電話に追われている。
僕も見とれていないで集中しなければ…と受話器を取り上げた。
暫くして、ふわっとお茶のいい匂いがした。
顔をあげると、瑞穂がそっと湯呑みを置いていた
「お疲れ様」
…やっぱり彼女が好きかもしれない。
お茶を飲む直前まで感じていたのは、彼女への純粋な好意だった…。