「ねぇ、先生」
「ん?」
「…ーーーもし…」
そこで自分にストップをかけた。
ちょっと待って、あたし。よく考えて…。
自分が今から生もうとしてる言葉の危うさに、危険さに、あたしの理性が働きかける。
もしこの言葉を言ってしまったら…。
「何?」
「…あ、えと…」
突然黙り込んだあたしに一瞬彼は何か言おうとしたけど、開きかけた口を閉じてまたあたしの答えを待つ。しばらくの沈黙の後。
あたしは決心して口を開いた。
「先生」
「はい」
「…ーーーあたしをーー」次の言葉は一拍置いて、息を吸ってから。
「好きになってくれませんか」
「……ーーーー」
先生は、見開いた瞳をあたしに向けたまま目を逸らさなかった。
「…何?」
「女として」
もう一度、顔には決して出さないけれど、心臓が破れそうになるのを押さえ付けながら。
「あたしを愛してくれませんか」
「…あい…?」
今初めてその単語を耳にしたとでも言わん顔で困惑する先生。
あたしはぎゅっと胸が苦しくなった。
同時にだんだん、ずっと心に秘めていた相手を攻める気持ちが。
そんな驚いた顔して。
でもあなたは…。
「知ってたくせに…」