いつの間にか離れたところに座ってたはずの先生があたしのベッドの上に座ってた。
あたしは寝たままで、先生はその上に覆いかぶさるようにあたしを掴んでーーー。
あまりの近さにカアッと顔が熱くなる。
「謝るのは先生の方だ…」今までに見たことのない悲しい顔で先生があたしの肩を掴む力を緩めた。
「その通りだ。今まで…先生は中沢の気持ちに気付きながら、ずっと」
そう言ってもっと険しい、悲しい表情になる。
そんな先生見たくなかった。そんな顔、させたくなかった。
あたしは半泣きで首を振る。
「違う…好きになったあたしが悪いっ」
「そんなわけあるか。人を好きになるのに善も悪もあるわけない」
「でもっ」
「だが、先生はお前を恋愛対象としては見れない」
「ーーーーは、い」
わかっていた言葉。
包み隠さずすっきりしたそれは、返って先生の優しさがわかった。
下手にあたしに同情して遠回しに言った方が惨めになる。
でも、やっぱり、わかってても辛い…。
「だからーー…」
ふっと先生があたしの耳元に口を近付けて、何かを呟いた。
一瞬のことで何が起こったのかわからず、涙も一時的に止まった。
「………」
それを聞いた途端、あたしはとうとう両手で顔を覆って泣き出す。
「…せっ、んせ」
「はい」
やっと僅かな微笑みを浮かべて先生は、またあたしの言葉を待つ。
心がでいっぱいで、先生への『好き』が溢れてしまって。
なかなか続きが言えなかったけど、震える声で言った。
「ありがとうございます」