「そしたら、言われちゃってさ・・・ホントに驚いたよ・・・」
どうしてか語尾にさえ力が無い。
一度だけこんな状態の由真を見た覚えがあった。
それは昔、俺が怪我をしたときだ。
それも相当な大怪我で一時は生死を彷徨った程の大惨事だった。
その時の、俺がずっと眠り続けていて、起きた時に見たあの時の由真の瞳だった。
「どうしたんだ?何か、お前・・」
俺は、その時初めて由真が笑いながら泣いていることに気付いた。
先ほどまでずっと俯いていた為に分からなかったが、由真はずっとこの表情を、笑顔を作ろうとしていたんだろう。
「おま・・何で泣いてるんだよ?」
俺の言葉はひどく由真に傷を付けるかのごとく襲い掛かっているようだった。
由真の口からは予想もしない言葉が紡がれた。
「私のほうが、先だったのになぁ〜」
言葉の意図することが全く分からんというわけでは無い。
こんな話をしているときにこんな言葉を言われてまで気付かないほど俺は鈍感ではない。