「やっちまうぞ!」
男達はそれぞれに拳やナイフで男に襲い掛かった。
だが、その瞳を瞬き一つせずに、まるで何事も無かったかのように軽々と交わしてしまう。
「お前、何者だ?!」
まるで、すぐにやられる三下のような台詞を吐きながら、男達は息一つ乱さないその男を見る。
男達の目にもすでにはっきりとその人物が尋常では無いことが存分に理解出来ていた。
だが、この人数差があって負けるとは思ってはいない。
だからこそ、三下扱いの雑魚キャラなのだろう。
「俺か?・・俺は差し詰め・・・お姫様を守護するナイトかな?」
そんな言葉を聞いたからこそ、華連は驚いた。
自分の事をお姫様と?
生まれて初めて聞く、その言葉に胸が高鳴るのを感じながら目の前で起こることを見続けていた。
「くそ・・・なんだよ、こいつ一発もあたらねぇ〜」
「ホントだよ・・・何人で掛かって行ってもすべてひらひらと避けやがる」
「全員で一気に畳み掛けるしかないみたいだな?」
「よし、それじゃいくか?」
男達はタイミングをとりながら全員で一斉に襲い掛かる。
「くっ・・・」
今まで避ける事だけをしてきたナイトと名乗った男だが、流石に男達が捨て身で全員同時に攻撃してきたので、避けることは不可能だったのだろう。
微かに光に反射したナイフが頬に一筋の線を描き出す。
そこからは紅い色の線が浮かび上がるようにして描かれた。
「・・・流石に、もう無理だ。我慢できん・・・逃げるならば、無傷で許してやろうと思ったが、お前らは、くず人間のようだ。一人二人をぼこぼこにしても文句を言うやつはいないだろう?」