『別れよう?!俺達。』
たった一言で、一瞬にして気分を落ち込ませてしまう衝撃の別れ話。
そう、
わたし、茅野めぐみ22歳。
職業は普通のOL。
見た目はいたって普通で、ナチュラルメイクにゆるふわパーマのダークブラウン。
たった今、5年間付き合った恋人の、
草島 尚輝にふられたばかりだった。
『いいよ。別れてあげる。なんかロマンチックねぇ。
クリスマス・イブに別れ話なんてさ。』
うすうすは感じていたから。
あなたに好きなコが出来たって。
『カヤノ‥‥ごめん。』
草島は私の事を“カヤノ”と呼んだ。
名前よりも、そっちの方が呼びやすいという理由で。
『謝らないでくれる?!最後まで、わたしに恥かかせないでよ。
ただでさえ、あなたの好きになったコが現役女子高生だって事に、わたしはショックを受けているんだから。』
究極の負けず嫌いな性格のわたし。
自分でも最後くらい可愛く出来ないのかって思う。
草島は、わたしより一コ上の同じ高校の先輩だった人。
当時、わたしは草島から告られて、
とりあえず、好きな人がいないから付き合ったという、
そんな軽いノリから始まった関係だった。
『じゃあな、カヤノ。お前が明るい奴で、俺も助かったよ。
正直、泣かれたらどうしようと思った。
よく考えたら、そんな訳ないよな。
お前って、昔からめっちゃ気が強いし。』
『当たり前じゃん。てか、あたしも実は、ずっと気になってる人がいて‥‥。
だからおあいこじゃん?!』
『ハハ‥‥そっか。
でも、ホントお前は面白い奴だと思うよ。
お前は、たくましいから絶対1人で生きていけるタイプだよな。』
『はいはい。ありがと!!
ほら。早く行きなよ、彼女の所に!!
待たせてるんでしょ?!』
『まぁな。んじゃ‥‥気をつけてな。』
『はいはい♪じゃ〜〜ねっっ♪』
バカ‥‥‥。
人の気も知らないで‥‥‥‥。
気になる人なんて、いるはずないじゃん‥‥‥‥。
バカ‥‥‥。
わたしは‥‥‥
わたしは、そんなに強くない‥‥‥‥。