桜の木とともに 本編23

キョウスケ  2008-12-24投稿
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彼女の部屋に入ると、母親の美由紀さんと話している所で、私を見るなり
「や、大和君!」
びっくりした表情で私を見ていた。
美由紀さんとは受験以来、よく話をしていたので、桜の状態は毎日のように聞かされていた。
「調子はどうだ?」
「心配かけてごめんなさい。なんとか動けるぐらいにはなったから」
弱々しい声で答える。
私は桜の姿が、こんなにも弱かったかと思うぐらい不安になった。
「入院するなら、連絡ぐらいしてくれよ。オレ、ずっと駅で待っていたんだぞ?」
いつも、学校の近くの駅で待ち合わせしていたのだが、今日は一時間目が始まる時間になってもこなかったので、彼女のクラスに聞いて病院に来た。
「大和君には心配させたくなかったの。今日も学校に行こうとしたけど、お母さんに止められちゃって、本当にゴメンナサイ」
謝る桜に、
「桜はオレの事、信じてないのか?」
入院の件を、いち早く教えてもらえなかった事に対して、私は少し怒りを感じた。
「違うの、大和君には心配させたくなかったの」
同じことを繰り返す。
私は「帰る」と言って、すぐに部屋を出た。帰る廊下で、美由紀さんと目が合ったが、何も言わずに病院を後にした。



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